年の瀬というが私は忙しかったことがなく、逆に時間がゆっくりに感じる時期だと思っている。早朝に真冬の冷気で身をしゃっきりさせても、たちまち緩慢な流れに取り込まれ、心地よさに遡上も叶わぬまま、怠惰の海に放り出されてしまうのだ。何もしていない言い訳が済んだところで、今日は今年読んで面白かった本でも並べてみようか。「電脳の歌/スタニスワフ・レム」「ソラリス/スタニスワフ・レム」「天冥の標/小川一水」「堕天使拷問刑/飛鳥部勝則」「初夏ものがたり/山尾悠子」「ロリータ/ナボコフ」「嘘と正典/小川哲」「若きウェルテルの悩み/ゲーテ」「オービタル・クラウド/藤井太洋」「同志少女よ、敵を撃て/逢坂冬馬」「魂の駆動体/神林長平」「地下室の手記/ドストエフスキー」「白痴/ドストエフスキー」「第三の嘘/アゴタ・クリストフ」「COSMOS 美しき宇宙の図鑑/スミソニアン協会・渡部潤一」順不同。几帳面なブロガーのように個別の感想は用意していないが、いくらかの感想は今年の5月以降の日報に散らばっているはずだ。休職してから50冊だか60冊はあった積読を一気に読み通したこともあって、今年は全盛期に匹敵する量の文字を消費した。読書の歓びを思い出せたような、書に身を捧げてもいいような、いやそこまでではないか、という塩梅だ。とりあえずまた10数冊ほど溜まってしまったので、来年早々はそれらを読み切ってしまいたい。様々な新興コンテンツによる血みどろの競争とそれに追従しようとする新旧世代らを見向きもせず、己の意志で飛び込んだ空想に溺れて余生を終えられるとしたら、まあまあ上等な死因に違いない。